「きもの事始め」Q&A

着物は特別なもの?

着物への興味や憧れがある、できれば着てみたい、そう思っている人は案外多いのではないでしょうか。さて、そんな皆さんの「…」はいったい何でしょう。これまでいただいた質問や問い合わせなど、きもの事始めのQ&Aとしてまとめてみたいと思います。

きもの事始めQ&A一覧
Q:着物は特別なもの?
Q:着物はルールが難しい?
Q:着物は高い?
Q:着物は保管が大変?
Q:着物は場所をとる?
Q:着物は着るのが面倒?
Q:着物は小物が多すぎる?
Q:似合う着物がわからない。

Q:着物は特別なもの?
A:特別な着物と普通の着物があります。

「着物」ときいてまず何を思い浮かべますか?

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成人式、結婚披露宴、お茶席、入学・卒業式のお母さんの着物…成人式は2度ありませんし、それ以外もそうしょっちゅうというわけではありませんね。ちなみに私の場合、昨年は2回でした。そういう意味でこれらはたしかに特別な時や場のもの、いわゆるフォーマルな着物です。

ドレスコードが「フォーマル」である以上これらの着物にはいろいろな約束事(着物の種類、着方、小物の合わせ方など)があります。ルールが厳格で自由度が低い着物といえます。

Tokubetsu3sq_2 ところで、特別な着物があるとしたら当然、普通の着物もあるはずです。
たとえば洋服ならTシャツにセーター、ジーンズ、ちょっとした外出にはスーツやワンピースなどカジュアルな普段着がありますよね。実は着物も全く同じで、日常生活で普通に着られる普段着・お洒落着感覚の着物があります。絹なら小紋や紬、それに木綿や麻、ウール、化繊などの着物です。

だけど普段といったっていつ着るの?―いつでも。
着始めの頃は誰しも自分の着姿に自信がなく不安になるものです。が、着物は着るほどに上達します。一通りの手順や基本を習ったら、あとは練習を兼ねて日常生活の中にどんどん着物生活を取り入れてみることです。家の中で、ちょっとそこまで買い物、友人や夫婦で食事やコンサート、思い切って旅先で、など。要は自分の好きなときに自由に機会を作ればよいのです。

着物というとどうしても構えてしまいがちですが、日常に取り込むことでずっと身近になるはずです。また、普段着・街着ですからあまり細かなことにとらわれず、洋服と同じように自分の好きな組み合わせ・着方で自由に楽しんでください。なにしろ「カジュアル」なのですから。

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Q:着物はルールが難しい?
A:楽しみで着るならルールはありません。

Rule1 着付けのルールはもちろんあります。左右の襟を逆に重ねることはありえませんし、お茶席に華美な装いはそぐわないでしょう。

そういう基本的なルールは別にして、楽しみやお洒落で着るのなら着物の格や組み合わせの細かなルールにとらわれる必要はないと思います。色柄や素材の合わせ方など個々人の好みがあるところですし、それを優先した方が本人も気分がよいはずです。

また、所詮お洒落なのですから着た以上は自信を持って着ること、これはかなり重要なポイントです。

それからきまりのひとつに着物の季節があります。10月~5月が袷、9月と6月が単衣、7・8月が薄物。ところで、ここ数年の地球温暖化、もし単衣が9月・6月だけというなら着物を着るのは殆ど難行苦行です。洋服なら暑ければ4月でも10月でも半袖で過ごしますよね。それをヘンだという人もいないと思います。着物も同じです。汗だくの着物姿では本人はもとより、周りの人まで暑苦しくさせてしまいます。このあたりももっと柔軟に臨機応変でよいのではないでしょうか。

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Q:着物は高い?
A:一般的には高いですが、安い着物があります。

Takai1 もし着物を誂えるとしたら、たしかに着物は安いものではありません。織や染めなど手間ひまのかかった反物に加え裏地に加工、仕立代など、オートクチュールのようなものですから高くなるのも当然といえます。

ただ最近は着物も国産対外国産の図式は他の業界と同様です。中国産の安価な絹を使ったり、海外縫製・ミシン縫いなどで価格を低く押えたものも多く出回っています。

また、昔なら着物は呉服屋さんかデパートへ行くところを今はネットショップにリサイクル店、洋服ブランドのモダンな着物と販売形態や手に入れる手段も多種多様になっています。

型で手染めしたものと機械プリントでは深みが違いますし、手織りや手縫いは身体への馴染み方が違うかもしれません。なにより自分の寸法に合った着物は楽にぴったりと着付けることができます。そういう意味ではやはり自然素材の、マイサイズの着物に勝るものはありません。

ただ現実的なことを考えると、着物のことがよくわからないのにいきなり決して安くはない投資をするのは躊躇われるのもまた当然です。

いろいろな考え方があると思いますが、楽しむために着るのなら別にどのような選択でもよいのではないでしょうか。

ご家族から譲り受けたものがあればそれがいちばん、もしなくても化繊のプレタ着物は4~5,000円くらいから、リサイクル着物なら1,000円から手に入ります。現代にはもうない昔の柄に惹かれて好んでアンティークを捜す人たちもいるくらいです。

着物は高すぎるからと機会を失くすより、こういった着物や帯で楽しむのもひとつの方法ではないかと思います。またせっかく高価な着物を誂えながら汚れを気にして着るのが億劫になってしまうより、木綿やウールなどの普段着素材の着物で気楽に楽しんでみるのもよいのではないでしょうか。

ある集まりで若い方が着ていた黒の素敵な単衣、アンティークで1,000円ちょっと聞いて皆、え~っ、それが!また長年お茶を嗜む私の叔母はMデパート御用達。さすが叔母さんと思ったらなんと洗える着物派でした。「だって言わなきゃみんなわかんないわよ」(笑)だそうです。

今は着物を着ていることがとてもお洒落に見える時代です。もっとチープにもっと気楽に着物を楽しんでみてはいかがですか。

(注)アンティークやリサイクルなど昔の着物は寸法が小さいことが多いので購入の際は必ず確かめるようにしましょう(身丈,裄丈など)。また化繊着物もM/Lなどがありますのでこちらもご自分に合ったサイズを。

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Q:着物は保管が大変?
A:普通の着物なら洋服並みです。

Hokan1 晴れ着ともなればやはりそれなりの保管をした方がよいでしょう。

昔からいわれるように桐箪笥や桐の衣装箱が最適です。それ以外の絹の着物は畳紙(たとうし)に包み、紙製など通気のよい箱へ入れ湿気の少ない場所を選んで置いておけばまず大丈夫です。防虫剤を入れておけばなお安心です。

木綿やウール、ポリエステルなど洋服と同じ素材なら着物だからといって特別扱いする必要はまったくありません。プラスチックやダンボールの衣装ケースで十分です。

いずれにしても普段着物ならそれほど神経質になる必要はなく、洋服と同じと考えて差し支えないと思います。ついでに着物のクリーニングについて。

絹の着物はやはり呉服屋さんか専門店に出すしかありません。ただ、それほど回数を着ていない、汚れも特にないというなら毎シーズンでなくてもよいように思います。

ウールの着物は普通のドライクリーニング(1,500円~)でOKです。ポリエステルの着物や夏の麻は自宅で洗えます。私はネットに入れて洗濯機のドライ洗いで洗ってしまいます。干すときにきちんと整えればノーアイロンで済みます。

それから浴衣や木綿の着物、これらは自宅でも洗えるのですがそのあとのアイロン掛けが一苦労。いずれも1,000円前後ですみますので気が重くなるよりはと私はドライクリーニングに出してしまいます。

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Q:着物は場所をとる?
A:普段着る着物はコンパクトに畳みます。

Basho1_2 たまにしか着ない晴れ着は余計な皺を作りたくないのでやはり普通に畳んでおいたほうがよいでしょう。

この畳み方だと着物用畳紙の長さで約85cm、一折のところを2回折るようにするとクローゼットサイズ の約60cmになります。 Basho2_2この長さを何枚か重ねると専用の収納箱や抽斗でない限り、奥行きが深い分取り出しにくくなります。そこでオンシーズンで着ている(着る予定)の着物は普通に畳んだものを更に3つに畳んでコンパクトにしてしまいます。 その上で風呂敷Basho3_2包みにしたり、直接洋服用の衣装ケースに入れたりしておきます。最初にきちんと畳みさえすれば皺もあまりつきませんし、すぐ出せるようにしておくと気軽に腕を通す気にもなります。

Basho4_2 なお、木綿や麻、ウール、ポリエステルの着物はオフシーズンもこの大きさで保管しておいてもかまいません。保管と同様、着物も素材によってケースバイケースで収納すればよいと思います。 

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Q:着物は着るのが面倒?
A:着付け小物はいつもひとまとめにしておきます。

Mendou1 着物は身につける物の数が洋服より多いのはたしかです。

着物と洋服、実はいちばん大きく違うのは着る前・着た後かもしれません。着物の場合、なるべく手際よく着付けるために小物の準備が必要ですし、着た後の片付けにも時間がかかります。

着付けを習うと必ずはじめに着物の畳み方を教わりますが、着物を日常に着なくなった現代では畳み方を知らないことにはしまうことさえできません。最初は面倒に感じますがこれも慣れ、わかってしまえばどうということはありません。

その日に着る着物や帯、襦袢など大きなものはとりあえずハンガーに掛けておきます。脱いだときも同じ。足元にあったのでは邪魔になりますから。こうして周りを広くしておくとあとの着付けや片付けがぐっと楽になります。Mendou2

紐やらクリップやらの着付け小物はいつも専用の小さなバッグや籠などにひとまとめに入れておくとよいでしょう。こうしておくといちいち捜さずにすみます。外出のときは着物を着る前に履物やバッグなどを揃えておくと慌てません。

着物を着るときはこの前後だけは準備を怠りなく。ちょっとしたことで着付けの流れがスムーズになります。そして着物を着ること自体は慣れるほどに時間が短縮されますから大丈夫!

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Q:着物は小物が多すぎる?
A:洋服と兼用できるものを取り入れます。

Kenyou1 たとえば着物には和装専用のバッグを揃えなければいけないのか?いいえ、必ずしもそうではありません。

私は洋服用に買った黒のエナメルのハンドバッグをしょっちゅう使っていますし、そういえばダイヤ柄のジャガード織バッグは着物用ですがドレスもOKです。

ちょっとそこまでなら、近所にあるアジアの民芸品を扱うお店で売っていたバティックやビーズの布製バッグなど。Kenyou2 大昔のロングスカーフは帯揚げ、ブローチは帯留に使える!そのほかにも大判のウールのストール、毛糸のマフラー、フェイク・ファーの手袋など、全部洋服で使っているものですが、着物にも十分合わせられます。

お手持ちのブランド物のスカーフでもバッグでも、要するに雰囲気さえ合っていれば問題ありません。履物などどうしても必要なものはありますが、これも小紋や紬なら草履でなくとも下駄で十分です。Kenyou3

小物をその度揃えていたのではお財布もスペースもたまったものではありませんし、専門店は意外に種類が少なく価格も割高です。いっそ洋服のバーゲンセールを活用してはいかがでしょう。頭を切り替えると案外使えるものが見つかったりするものです。

Kenyou4 着物は小物が多いのが悩みでもあるのですが、逆にいうとそれだけ楽しみも多いことになります。そしてこの部分こそより個性を発揮できるところともいえます。洋服兼用にして着物版チープシックを実践しましょう!

何度かブログでもご紹介しましたが、もしご興味ある方は是非以下をご覧下さい。着物小物の楽しみ方、活用法がとてもよくわかります。

以下のサイトもオススメ。
着物小物:竹蔵龍 「着物コモノ」(2007/02/02発売の本)
半衿の店:着物好日
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Q:似合う着物がわからない。
A:雑誌や本などで好きなイメージを探してみる。

Niau1 自分に似合う着物…基本の基本なのですが、これを知るのは意外に難しいかもしれません。

幸いなことに近頃はちょっとした着物ブーム、本屋さんでもいろいろなタイプの着物雑誌が出ています。

正統派に普段着派、なかには石田節子さん、森田空美さんなど個々のパーソナリティでまとめたものなどもありますので、まずはバーチャルに自分の好みのタイプを探してみることです。

優しい感じ、粋な感じ、思い切りレトロでアンティークに、洋服のスーツのような雰囲気で、モダンでポップになどなど。全体的な雰囲気・イメージが好みかどうか。人によってそれは柄であったり、色の組み合わせだったり様々だと思います。また、実際の生活でも着物姿の人を常に意識して見るようにすることです(ジロジロと失礼にならない程度に)。

Niau2 着物はまず色で選ぶ、といわれます。どんなタイプの着物でもその人に合った色が大切という意味です。

これは実際に反物を当ててみるのがいちばんですが、なかなかそういう機会もありません。ご家族の着物があればそれらを使って顔映りを試すのもひとつです。

ただこれも他の項と同様、着物だからといってあまり意識しすぎないことです。その人の持っている雰囲気が洋服と着物で極端に変わってしまうことはあまりないですから洋服で好きな色など、まずは着ていて安心するものが事始めにはよいでしょう。

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きものの小径

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