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清水靖晃のバッハ

寒さがまた戻ったような週末、夕方から錦糸町へ。

路線も街もふだんはあまり馴染みがないが、駅から歩き出すとすぐに建設中のスカイツリー が見えた。今、半分くらい?

向かったのはすみだトリフォニー・ホール、清水靖晃&サキソフォネッツのコンサートが開かれる。

10年以上前に発表されたバッハの「無伴奏チェロ組曲」はマイ・バッハ・コレクション(ジャンルを問わず、バッハであればよい)のひとつだ。

この日はその同じバッハの「ゴールドベルク変奏曲」、サックス5本とコントラバス4本の編成だという。

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「音の残滓」――彼の音楽にいわれるこの表現はなるほど、言いえて妙である。

先の「無伴奏」の録音に選ばれた場所は釜石鉱山の地下空洞、ルネッサンス時代のイタリア貴族の邸宅、石切り場や倉庫など。

残響、時には雑音までも取り込んだ彼の音楽は喩えるならばノンフィルターの、滓をたっぷり含んだ滋味深いワインの如く、だろうか。

それにつけても心躍るバッハだった。

バッハの音楽は実は演奏している本人が一番楽しいのではないか?そう知ったのは高校時代の管弦楽の合奏だった。

主旋律と伴奏に役割の分かれるホモフォニー音楽と違い、ポリフォニー音楽には各パートに主従がない。いわば独立パートの集合体。曲の流れで主役はくるくると入れ替わってゆく。

それぞれのパートは自分の旋律を好きに奏でているようで、そこには自ずと調和が生まれる。

ただし規格や与えられた秩序による調和ではない。その時々で自分たちが作り出し構成していくものだ。

そんなポリフォニックなものの楽しさを知って以来(というかおそらくは元来の性分として)、この形態にはいつも心魅かれる。

音楽だけではない、仕事もこうありたい、人間模様もこれがいいか。

この日の演奏は5本のサックスが押したり引いたり、ついたり離れたり、あたかも緯糸経糸となって1枚のタピスリーを織りあげていくかのような様はなんとも楽しいものだった。

アンコールで舞台最前に5人が横一列に並んだ「無伴奏」のジーグの演奏に思わずbravo!

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